いつものように図書館の返却コーナーを見ていると、ふと目に入った。
ちょっと前に話題になっていた本だ。
こんなに薄いのなら読んでみても良いかもな。
そんなことを思いながらお家に連れて帰った。
衝撃
衝撃が走ったのは、表紙をめくってすぐ。
「ちょっと前」と認識していた流行りの本が芥川賞をとったのはなんと2016年。
私がちょっと前だと思っていた本が、話題になっていたのは、8年も前!
大学後半の頃に賞を取っていた認識なのに、まさかの高校の頃!
というか、社会人になってから4年目に入っちゃっているから、そもそも大学もだいぶ前!
時間の流れが早すぎて、時代に自分が置いていかれすぎて、
読む前から衝撃が止まらない。
2016年……2016年……2016年……
ぐるぐる頭を回る。
賞を取ったと話題になった時から、「いつか読んでみたいなぁ」とずっと思っていたから、8年もの間ずっと積読になっていたわけだ。
(買いはしていなものの、ずっと読みたいものとして頭の片隅にいた)
普段芥川賞とかを追っているわけではないから、
この本が特別興味を引いたわけだけど、まさか8年も経っているとは思わなかった。
本当に衝撃。
読んでみた(ネタバレ含む?)
んなわけで、読んでみた。
そんなに長い本じゃないから、通勤時間とお昼休みを合わせた40分ほどで読み終えた。
率直な感想。
ソワソワして、思考がぐるぐるする。
歪だけど、すごくリアルで、現実的だけど、目を逸らしたいような。
そんな本。
「店員として生きる」っていうのが、ただその役割を担っているだけではなく、
周りに馴染むために演じている様子が、わかるような分からないような。
主人公恵子が、一貫して理屈が通っていることが、周りの歪さを際立たせる。
社会では恵子がおかしいとされるのだろうけど、理屈の通った恵子越しに見ると、
歪んでいるのは社会のほうな気がしてくる。
昼休みに職場で読んでしまったもんだから、
昼休みが終わった後もちょっと余韻が抜けず。
それに、途中から出てくる白羽とかいう男の最悪なことと言ったら。
人を馬鹿にするのも大概にしてほしい。
見下されることは許せないのに、自分は他人を見下す、という、恵子とは対照的なほどに理屈の通らない男。
私は好きじゃないね。
本当に心がザワザワする本だった。
この奇妙さが話題になった理由か?と思ったりした。
面白いか面白くないかで言ったら、面白いと思う。
音に関する描写やコンビニという誰でも知っているところが舞台になっているわかりやすさも良い。
ただ、あまりにリアルすぎた。
本に夢や希望を求めている私にはちょっぴり残酷な感じで、少し引きずりそう。
まぁ、人には面白いよ、と勧めるかもしれない。
(みんなはすでに知っている気もするけど)
時間の早さの衝撃と、本の中身の衝撃と。
刺激の強い1日になった。