せっかち小夏のズボラな生活

20代OL気まぐれ日記

「お願い、話しかけないで」

「お願いだから、もう今日は話しかけないでほしい」

あまりに突然のお願いに、びっくりして相手の顔を見る。

言われているこの場所は静かにすべき図書館でもなければ、言われているタイミングも集中すべき仕事中などではない。

 

「お願い、ずっと話しかけられて辛いよ。一人で集中させてほしい、人生に」

 

そして言われているのは5歳の子供ではない。

 

お風呂の中、顔を洗っている最中に、アラサー女がパートナーに言われているセリフだとは到底思えない。

言っている張本人は笑顔ではあるものの、どう考えても真剣に困っていて、本当に嫌そう。

 

そして、言われた張本人の私は、驚いて笑い出す。

 

……だって、そんなことを言わなきゃいけないパートナーが不憫で仕方なかったから。

「ずっと話しかけられていて辛い」ってなんだ。

 

そこで、仕事から帰ってきてからの自分の行動を振り返る。

料理を作っている最中も、食事中も、お風呂の用意をしている時も、頭を洗っている最中も、ずっとずっと止まらない私のおしゃべり。

 

そりゃあ、文句も言いたくなる。

タイプの異なる二人

結婚こそしたものの、二人の性格は全く異なる。

疲れた時の行動や思考は、多分パートナーの方が一般的。

 

パートナーは、疲れている時は静かにしたいタイプ。

体力的、精神的、どんな疲れの時も基本的には静かに過ごしたい。

黙って、大好きなゲームをしている時間が本人にとってのリラックスタイムなのだと思う。

 

一方の私は、疲れれば疲れるほど喋りたくなるタイプ。

疲れている上に頭がゴチャつくのがしんどくて、ひたすらアウトプットを繰り返す。

 

中学生の頃、片道3時間の山登りに学校で行ったことがあった。

背の小さかった私は、背の順の先頭を先生とともに歩いていたわけだけど、その時の私は6時間ぶっ通しで先生に向かって話しかけていた。

みんなが疲れで静かになっていく中、私だけノンストップで喋っていたのだ。

体が疲れると、呼吸を促すかのように、喋る。

静かになると余計に辛くなる。自分のためにひたすら話す。

当時の担任の先生には申し訳ない。

 

実家にいた時は、母や父に向かって、一日中話していた。

相手が生返事だとわかっていても、止められないのである。

 

もちろん、友人などと出かけた時は気をつけている。

それでも、「よく喋る子だなぁ」と思われていただろう。

 

心を許している身内になればなおのこと。

うるさい頭の中

私が喋る一番の理由は、頭の中にたくさんの考えや感情が湧き上がってきてやかましくなるから。

頭の中のうるさいものをそのまま外に出す。

正直、流れてくるままに音にしている感じだ。

黙っていると、その情報が頭の中に詰まって、渋滞を起こす。

大きなテーマが出てくると、それに頭を支配されて前に進めない。だから、出す。

正直、周りが迷惑だというのも頷ける。

沈黙が怖い

それに、沈黙が怖いというのもある。

一人でいる時の沈黙は全く気にならないし、一人の時間はそれはそれで好きなのだけど、誰か自分以外の人が居るときに、静かにしておくのがしんどい。

言葉を信用しているからこそ、言葉を発してこない時間、相手の感情が正体不明の妖怪みたいに感じる。

「頼む、喋ってくれ」と思った瞬間には、私の口から言葉が出ている。たいして面白い話もないのに、とんだ迷惑だとは思う。

分散される話し相手

ちょっくら失礼だから、ここからは伏せ。

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