「レトロな喫茶店」
インスタとかキラキラSNSにはよく出てくる。
写真は上手に撮られていて、キラキラしている。
すごく美味しそうだし、落ち着いた雰囲気。
長年やっているその様相は、「きっと素敵な空間で、美味しいものを提供してくれるだろう」という錯覚を起こさせる。
でも、何事もそうだけど、全てがそうとは限らないのが現実。
学生時代、「どこに入っても美味しい料理しか出てこない」といろんな人が断言する県に住んでいたのだけど、唯一、驚くほど美味しくないものが出てきたのは、いわゆる「レトロな喫茶店」だった。
大きな商店街の中にあるし、入り口だけだとすごく雰囲気も良く、暑さに負けた私と妹はある喫茶店に入った。
この県なら喫茶店だって美味しものが出るだろと頼んだケーキ。
なんだか、クリームが変な味がする……。
生クリームだと思って食べたそれは、これまで食べたことのないもやっとした味がする。
なんというか、ブルーチーズのようなカビ臭さを感じるそれは、生クリームもどきの別物なのか、それともお客さんが来なさすぎて腐りかけているものなのか……。
幸い、私は胃が強いのでお腹を壊すこともなく、食べ切ったものの、一緒にいた妹とは店を出てから大爆笑した。
せっかくきてくれて妹に美味しいものを食べさせたかった気持ちもあったものだから、残念感と衝撃を超えて、二人の中ではかなりの笑い話になっている。
私自身もレトロさに期待をしてしまっていたのかもしれない。
もしかしたら、あれが喫茶店のケーキなのかもしれない。
よくわからないけど、少なくとも、SNSで見るような、キラキラした感じは実際はなく、食事の味もハードルを上げすぎているのではないかと思う。
(私が行ったところはSNSで見たわけではないけど)
あとあれだ、長く続いているからって「味が良い」とは限らないっていうのもある。
続く要因は他にもいろいろあるだろうし。
ふと思い出したお話でした。